歩行の「量」と「質」について(その10) ~おすすめ体操 「B」にんにん体操~



当メルマガ『歩行の「量」と「質」について』シリーズでは歩行改善の「コツ」をお伝えしております。

前回から、私たちが歩行ケアの場で歩き方の特徴(クセ)に応じてご案内している5つの体操を順次ご紹介しております。

    1. 「A」ひらひら体操
    2. 「B」にんにん体操
    3. 「C」上体ひねり体操
    4. 「D」綱引き体操
    5. 「E」抱え込み体操

今回は、Bの『にんにん体操』のご紹介です。


【B】にんにん体操 ~歩行ケアプログラム個別の補助運動~


にんにん体操は、片足で安定して身体を支える感覚を身に付ける運動です。

歩行フォームの左右差が大きい方にお勧めをしております。

動きとすると、一方の足を軽く上げ、軸足に対して身体全体をゆっくり外側に回旋します。

90度回ったら、また、ゆっくり元の姿勢に戻ります。

1日3回程度を目安に行います。


私たちは、利き手、利き足があるのと同じように、重力にあらがって立つこと(抗重力活動)が得意な側というものを持っています。

歩行は片足立ちの連続ですので、抗重力活動の上手さ(支持性)に左右差があり過ぎると、姿勢の左右差、歩幅の左右差、足の着く強さの左右差などに繋がり、左右どちらかの足腰に過剰に負担がかかったりして関節を痛める原因にもなりえます。

また、たとえば左足の支持性が低い場合には、左足で立つ際に骨盤の水平が保てず右下がりになることがありますが、前に振り出そうとする右足が通常より低い位置を通りますので、何でもないような段差につまずき易くなります。


にんにん体操は筋トレやストレッチではなく中枢系(脳-神経系)のトレーニングです。

体幹に対して軸足の股関節が外向きにねじれ(外旋し)、立つ(伸展する)という普段あまりしない動きの組み合わせにより、脳に「身体を支える」という強い信号を出し、運動プログラムを書き換えていきます。

従って、筋トレの様に3か月続けてじわじわ身体が変わるというものではなく、コツさえつかめば(運動プログラムが書き換われば)その場ですぐに歩きが変化することもあります。

基本的には身体を支えることが苦手な側の足を軸足にして「にんにん」します。

THE WALKINGによる歩行計測を行うと、支持性の低い側が示されるので、「右足を軸足にして」「左足を軸足にして」という指示に従って運動します。

歩行計測を受ける機会がない方は、どちらか一方と決めてかからずに、軸足を左右で入れ替えながら両側で取り組まれるとバランスよく支持性が向上して良いと思います。


今回は、おすすめ体操のご紹介の第2弾として、【B】にんにん体操をご紹介しました。

是非、動画のリンクを参考に、歩行改善にお取り組みいただけますと幸いです。


(担当 野澤)





製品の解説動画もございますのでご覧ください。