歩行の「量」と「質」シリーズも、早いもので今回が7回目(7か月目)になります。
前回(6/21(木))は、「手のひらの向き」「手の形」を変えると、スッとつま先立ちができるようになるというワークをご紹介しました。
前回の内容『歩行の「量」と「質」について(その6) ~上手に立つ→上手に歩く~』はこちらからどうぞ
今回は、種明かし回(解説回)ということで、
- なぜ、つま先立ちが変わったのか
- それが歩行とどう関係するのか
について、体幹と足部の連動という観点からお話ししたいと思います。
まずは、簡単に前回ご紹介したワークのおさらいです。
- 手順
- リラックスして立ちます。足の間隔は肩幅より少し狭いくらい。
- 両腕はぶらりと体側に下ろします。
- 両手の薬指と小指だけを握ります。手のひらが少し前に向きます。
- つま先立ちします。可能な限り踵を高く上げます。バレリーナになった気持ちで。
- 目視で、ご自身の踵がどれだけ地面から離れたかを確認します。
第3工程の「手のひらの向き」と「手の形」がポイントでした。
ーーー
手のひらを前向き
小指、薬指を握る
⇒ 「楽に」つま先立ちできる(踵が上がりやすい)
ーーー
ーーー
手のひらを後ろ向き(手の甲が前)
親指、人差し指、中指を握る
⇒ 踵が上がりにくい
ーーー
つま先立ちをするときに、足指の付け根の関節が曲がります。
「MP関節」という関節です。
この「MP関節」がスムーズに曲がってくれないと、スッとつま先立ちができません。
ところが、「MP関節」はいつでもスムーズに曲がるわけではありません。
足部の機能上、土踏まず(内側縦アーチ)が高いときだけ曲がるように出来ているのです。
「私は偏平足だから…」
という方は、そうでない人と比べると「MP関節」が曲がりにくく、つま先立ちも苦手かもしれません。
前回から、見た目の分かりやすさから「つま先立ち」を取り上げてお話をしてきましたが、本題は「歩行」です。
「MP関節」が適切に曲がるということは、歩行の上でも重要です。
歩くときの足に着目すると、
- 踵が接地
- 足底全体が接地
- 踵が離地(MP関節が曲がる)
- つま先が離地
となります。
偏平足の方が「ぺたぺた」歩くのは、3で踵が上がらないことが関係しております。
転倒の要因にもなりますので、注意が必要です。
偏平足にはいろいろな要因がありますが、下肢の連動からみると、
- 太ももが外旋(外向きにねじれる) ⇒ 土踏まずができる
- 太ももが内旋(内向きにねじれる) ⇒ 土踏まずがなくなる(偏平足)
ということが言えます。
下の写真をご覧ください。
でも、土踏まずを作るためとはいえ、歩くときに「太ももを外旋させて」とは意識できませんよね。
ヘンテコな、がに股歩きになってしまいそうです。
そういう時は、身体の連動する仕組み(運動連鎖)を使って、より上流からアプローチしてみましょう。
小指と薬指を握る ←大事
↓ ↑
腕が外向きにねじれる(手のひらが前を向く) ←大事
↓ ↑
肩など身体の外側の筋肉がリラックス
↓ ↑
お腹など身体の内側の筋肉が活動Up
↓ ↑
骨盤は後傾
↓ ↑
太ももは外旋(外向きにねじれる)
↓ ↑
土踏まずができる
↓
MP関節が曲がりやすい
↓
前足部で身体をしっかり支持することが出来る
↓
(自然と)歩幅が広がる
(自然と)歩行速度が上がる
まとめになりますが、足部の機能との協調を考えても、歩く際の「手のひらの向き」「手の形」は大事なポイントだということになります。
足部と体幹は相互に作用します。
足部だけ見ても体幹だけ見ても片手落ちです。
体幹や足部に課題がある中で、「歩幅を広げましょう」「歩行速度を上げましょう」と、努力によって出口側から変えようとすると、無理のある部分が壊れます。
身体の使い方には「コツ」があります。
無理をせず、楽に身体を使いましょう!
これからも、コツコツと「コツ」を集めてお届けいたします。
お付き合いいただけますと幸いです。
(担当 野澤)
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